日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-03
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ポスタ―発表
大麦粉のパンへの利用
*米山 陽子平尾 和子佐藤 清香三星 沙織吉岡 藤治桝澤 貴司青江 誠一郎藤谷 朝実
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キーワード: 大麦粉, パン, 物性, 官能評価
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抄録
【目的】大麦粉にはβ-グルカンなどの食物繊維が豊富に含まれ,その生理効果に加え,免疫増強作用があることも報告されている。大麦粉を用いたパンを主食とできれば,多くの食物繊維を日常的に摂取することが可能と考えられる。しかし,大麦粉はグルテンを形成しないため大麦粉のみでは製パンが難しいと推察されるが,これまで全粒粉を用いたパンで検討した条件を用いて検討することで,食味の良い大麦パンを得ることができると考えられる。そこで本研究では,大麦パンの嗜好調査を行い,その結果を基に家庭でも簡単においしく作れる大麦パンの調製法を検討した。
【方法】実験材料として,大麦粉(全麦連)および強力粉(日清製粉(株))を用いた。パンはホームベーカリー(Panasonic:SD-BM103)で調製し,大麦粉の置換量,加水量,油脂の種類について検討した。物性測定はテンシプレッサー((有)タケトモ電機:My BoyⅡ)で行い,官能評価は2点嗜好試験法と評点法を用いた。大麦パンの嗜好調査は,それぞれ小麦粉を大麦粉に30%置換した食パン,バターロール,フランスパン,ドイツパンの4種を試料とした。パネルは18~60歳の本学学生および教職員44名とした。
【結果】4種のパンの嗜好調査では,色,におい,味の項目でバターロールが有意に好まれた。これはバターロールが他のパンに比べて副材料が多いためと考えられる。パンの外観を統一してバターロール生地で食パンを調製し,大麦食パンと比較したところ,官能評価において色,味の項目で有意に好まれた。ホームベーカリーでの調製において,小麦粉を大麦粉に25~100%置換したパンは,置換量が増加するほど膨化率が低く,物性も硬くなり弾力性のないパンとなったが, 50%まで置換が可能と考えられた。以上の結果より,大麦粉を用いたパンは日常の主食として利用可能と考えられた。
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© 2015 日本調理科学会
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