日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-63
会議情報

ポスタ―発表
温度変化に伴う5基本味の強度変化および持続性
西川 綾真壁 言子山田 晃子*小林 三智子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】5基本味の味覚感受性が温度によって大きく影響を受けることは周知の事実である。5基本味を味わった際に生じる味覚強度変化や持続性を捉えるため、官能評価法の一つであるTime-intensity法(TI法)を用いて各味における特徴と温度変化が及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】閾上濃度の5基本味溶液を試料として用い、評価にはコンピューターで実行するTI測定ツール(テイストテクノロジー有限会社)およびマウスを用いた。測定中で最も味を強く感じた際の強度を尺度の最大値(非常に強い)とし、感じている味の強度についてマウスを動かし画面上のバーを操作することで、測定時間中継続して評価させた。得られたTI曲線から最大強度(Imax)、最大到達時間(Tmax)、TI曲線下面積(Area
under the curve:AUC)、全応答時間(Ttot)、測定開始から90秒までの10秒毎の強度(I10、I20、I30、I40、I50、I60、I70、I80、I90)を算出した。この同操作を3段階の温度にて行った。なお、実験協力者は22名であった。
【結果】酸味のAUCは他の4味に比べて有意に小さく、また苦味のAUCは甘味,塩味および酸味に比べ大きいことが認められた。Tmaxは酸味が甘味、うま味および苦味に比べ有意に短いことが認められ、Ttotは酸味が塩味、うま味および苦味に比べ有意に短く、苦味が甘味、塩味および酸味に比べ有意に長いことが認められた。10秒毎の強度に関しても、20秒から70秒後まで酸味では他の味よりも弱く、苦味では他の味よりも強い項目が多くみられた。したがって、酸味は最大強度到達時間および全応答時間が短く、強度変化が急激であることが明らかとなった。また、苦味は最大強度到達時間および全応答時間が長く、強度変化が緩慢であることから、後味が残りやすい傾向があった。

著者関連情報
© 2015 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top