抄録
【目的】今日の食環境の中で「中食」のウエイトが高くなりつつある。中食としての市販弁当においては,塩辛い,野菜の量が少ない,脂肪エネルギー比が高い,ミネラル含量が低いなど栄養面での問題点が指摘されているにもかかわらず,そのような弁当が販売される背景には,手軽に入手できるという現代の利便さを求める動きが優先されている為と考えられる。よって,中食も健康づくりにつながるものや栄養バランスの良い食事の参考になるものが求められていると考え,企業と連携して栄養バランスを考慮した『栄養バランス弁当』を開発し販売した。本研究では,それら弁当の販売開始時からの販売数量等を調べ,販売数量に影響を及ぼす要因について解析した。
【方法】弁当の名称は『たくみ』『めぐみ』『なごみ』とし、摂取エネルギーが650,550,450kcal程度となるような3種類で,栄養バランスについてはPFC比率を考慮しつつ食塩相当量を2.9g以下にした。2014年8月23日から2015年4月14日までの販売実績データをもとに,店舗別販売数量,月別販売数量,県別販売数量,店舗別商圏内人口などのデータを得た。店舗を中心とした半径3km圏内の人口より年齢別人口構成比を算出し、弁当販売数量との相関関係を検討した。データ解析はIBM SPSS Ver.12を用いて、p<0.05で有意差ありと判断した。
【結果】『たくみ』,『めぐみ』の販売数量と15~19歳人口構成比を分析したところ相関が認められた(r=0.30,p<0.05,r=0.43,p<0.01)。さらに『めぐみ』において男女別で分析したところ,男性15~19歳人口構成比との相関係数はr=0.32(p<0.05),女性との相関係数はr=0.45(p<0.001)であった。以上の結果から栄養バランス弁当の販売数量に15~19歳人口構成比が男女ともに影響を及ぼしている可能性があることが示唆された。