日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-p4
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口頭発表
冷凍食品のすり替え偽装防止技術に関する研究(1)
基本原理とその有用性
*河野 俊夫
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キーワード: 冷凍食品, 食品偽装, 近赤外
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抄録
【目的】TPP交渉の妥結を控え、我が国への海外冷凍食品の流入は今後さらにその数を増すものと考えられる。その最中、冷凍食品を巡り、異物混入やすり替え偽装などの問題が発生してきた。現在の冷凍食品の流通過程では、内容の正規性はパッケージ管理に頼っている。しかし、パッケージを偽装されれば非正規品も正規品として流通される。そこで本研究では、冷凍食品の流通過程でのすり替えを防止することを目的として、異物検出技術を逆用した食品本体の直接識別管理法について検討した。DNA鑑定法に比較し、1)無侵襲検査、2)全数検査が可能で、食品流通の流れを止めずに済む。
【方法】認可された食品添加物を冷凍食品の表面にデザイン化して付着させたうえで、このデザインを付着させた冷凍食品に対して光を走査照射し、その反射光に含まれる、食品添加物の近赤外領域での識別固有波長を利用して、そのデザインを復元する手法である。サンプルデザインに用いる食品添加物として、身近な食品にも用いられる9種の食品添加物を選択し、冷凍食肉3種に対する識別固有波長を求めた。
【結果】冷凍食肉に対する供試食品添加物の識別固有波長は、波長1,100~2,500nmの範囲で広く分布し、食品添加物の種類によって2~5点存在した。識別のし易さを検討したなかで、L-酒石酸水素カリウムが識別デザイン物質として有用であることが分かった。
なお、本発表は平成24年度~26年度厚生労働省科学研究費補助金(食品の安全確保推進研究事業)を受けて実施した内容の一部である。
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© 2015 日本調理科学会
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