日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-a4
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口頭発表
トロミ調整食品添加試料の口腔内における性状の変化
*岩崎 裕子本多 優美大越 ひろ
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抄録

【目的】近年、嚥下機能が低下した人の誤嚥を防ぐトロミ調整食品が多く開発されているが、原材料の違いにより性状が異なることが示唆されている。また、食物は、口中に取り込まれてから嚥下する過程において、唾液や温度の影響を受けることが考えられる。そこで本研究では、トロミ調整食品を添加した緑茶飲料を試料とし、摂食過程における食塊の力学的特性および性状の変化について検討した。
【方法】主な原材料が異なる3種の市販トロミ調整食品(グアーガム系、キサンタンガム系、デンプン系)を、緑茶飲料に添加し、ずり速度50s-1における粘度が450mPa・s程度となるよう試料を調整した。被験者には、口腔内に試料を取り込み、舌と硬口蓋で1回/秒試料を押し潰す(以下摂食運動)よう指示し、1秒、5秒、10秒、15秒後の食塊を採取した。得られた食塊について、温度、粘度、テクスチャー特性の測定、官能評価および写真による性状観察を行った。
【結果】食塊試料の温度は、個人によるばらつきは大きいが、15秒後では平均で28℃付近まで上昇することが示された。また、粘度および硬さは、試料により程度が異なるが、基準試料と比較し、1秒後、更に5秒後は低下することが示された。特にデンプン系試料の低下率が最も大きく、唾液の影響を顕著に受けることが示唆された。官能評価の飲み込み易さは、摂食運動に伴い飲み込み易いという傾向が得られた。写真による性状観察では、摂食過程に伴う唾液と試料との混ざりやすさは3試料で異なった。唾液との混ざりやすさが試料により異なり、主観的評価に反映されることが示唆された。

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