日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-a5
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口頭発表
高齢者の野菜ジュースの嚥下特性に及ぼすにんじんピューレ添加の影響
*森髙 初惠小林 誠卯川 裕一提坂 裕子佐川 敦子不破 眞佐子堀 一浩小野 高裕
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キーワード: 高齢者, 嚥下, 野菜ジュース
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抄録

 【目的】日本は超高齢社会に突入し、総人口に占める高齢者の割合は平成25年には25%となっている。加齢に伴い全身の機能が低下し、嚥下機能も低下するため、誤嚥性肺炎の危険性が高まる。本報告では、にんじんピューレの混合割合の異なる4種類の野菜ジュースを試料として、嚥下時の口腔から咽頭への飲料食塊の送り込みの状態を、舌圧計、超音波画像診断装置および造営検査装置を用いて測定し、併せて官能評価を行い検討した。
【方法】高齢被験者は75歳以上の女性とし、比較対象の若齢被験者は20~23歳の女子学生とした。試料は野菜ジュースにメディアン径250μmのにんじんピューレを0~30%添加した野菜ジュースとした。超音波測定には超音波画像診断装置を用いた。舌圧測定では舌と硬口蓋の接触様相を定量的に測定できるスワーロ―スキャンを用いた。嚥下造影検査ではX線透過装置を用い、官能評価では9点尺度法により実施した。
【結果】咽頭部における食塊の流速は、0%よりも30%にんじんピューレ添加野菜ジュースで有意に遅く得られた。また、高齢被験者の咽頭部における食塊の通過時間は0%より30%にんじんピューレ添加野菜ジュースで有意に長かった。超音波画像診断装置によって得られた速度平均は30%ピューレ添加ジュースでは、高齢被験者の方が若齢被験者よりも有意に遅かった。また、高齢被験者は若齢被験者と比較し、舌と硬口蓋の接触圧のピーク値、ピークの積分値、硬口蓋5か所における全ピークの総積分値が有意に大きかった。官能評価では、高齢被験者、若齢被験者ともににんじんピューレ添加濃度の高いジュースで嚥下時に強い力を必要と評価した。

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