日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-p5
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口頭発表
朱塗り椀に盛られた椀盛の色彩分析
*清水 彩子松井 元子村元 ゆかり大谷 貴美子
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抄録
【目的】日本料理は「目で食べる」といわれるほど、見た目の美しさや季節感が重要視される。旬の食材を使いながらも、盛り付け方、器にも気を配り、特に、その色彩調和は、おいしさの重要な要素となっている。我々は、先行研究で黒塗りの椀に盛られた椀盛における季節感の演出について色彩に焦点を当て、その色彩配分パターンから季節感を演出するための盛り付けのルールを明らかにした。今回は朱塗り椀の椀盛について検討した結果を報告する。


【方法】資料として、茶懐石について書かれた料理書から、ほぼ同じ角度で椀上部より撮影された朱塗りの椀盛の写真32枚を用いた。写真をスキャナ(Canon MG7500series)を用いてパソコンに取り込み、食材の色をPhotoshop7.0(Adobe)のペイント機能を用いて黒、白、赤、緑、黄、橙、茶、ピンクに塗り分けた。椀の色は、赤の食材と色が重複しないよう、食品には少ない青に塗り、背景は紫に塗った。塗り分けた各色の面積割合をFeelimage Analyzer(ビバコンピュータ株式会社)を用いて算出し、色の出現頻度や占有面積、色数について分析を行った。

【結果】一椀に占める食材の面積は、20%~40%であり、白はすべての椀盛で使用されていた。中でも鱧やしんじょうなど、魚を主材料とする椀盛の主役である椀種は、明度が高く、暑い季節ほど、その占有面積割合が高くなった。次いで緑の出現頻度が高く(96%)、そのほとんどが季節の野菜であった。黒塗りの椀と比較すると、食材の色の出現頻度、面積割合には多少の差はあるものの、椀の色の占有面積に大きな違いはなく、椀の表面積に対する食材の割合は、椀の色にかかわらず同じルールで盛り付けられていることが示唆された。また、 朱塗りの椀は、季節的には春と秋に使用される頻度が高かった。
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