日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2D-a1
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口頭発表
国産ゴマ油およびナタネ油の調理特性
*伊藤 知子安藤 真美今義 潤江口 智美久保 加織髙村 仁知露口 小百合中平 真由巳原 知子水野 千恵明神 千穂村上 恵和田 珠子大潟 直樹
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抄録
【目的】食用油原料であるゴマおよびナタネの生産性の高い栽培システム構築を目的とし、ゴマ「まるひめ」とナタネ「ななはるか」の輪作体系の確立が検討されている。これらの食用油原料としての特性およびその調理特性を明らかにするために、それぞれから調製された油の物理化学的性質、フレーバー特性等について検討を行った。

【方法】試料油および対照として数種の市販食用油を用い、カルボニル価(CV)、酸価(AV)、粘度、色(ガードナー値)、成分等を測定した。フレーバー特性を明らかにするために官能評価を行った。また、揚げ媒体としての適性を調べるために、揚げ種としてバッターを用いて、170℃で15分ごとに合計3時間連続揚げを行った。

【結果】「まるひめ」油および「ななはるか」油の粘度は市販サラダ油よりやや低めであった。「まるひめ」油はToc含量が高く、「ななはるか」油はクロロフィルを1.4ppm含んでおり、色が濃かった。「まるひめ」油および「ななはるか」油は対照の油と同様に、それぞれ「香ばしさ」、および「刺激臭」「酸敗臭」「青臭さ」が強い傾向にあり、いずれもやや香りが強い傾向にあった。この特性を利用し、「かけて食べる」など調味料的な利用方法が考えられた。揚げ調理に用いた場合、「まるひめ」油は発煙が多く、揚げ媒体としての適性は低かった。これには精製方法が影響していることが考えられた。「ななはるか」油は揚げ調理による粘度、CVの上昇はサラダ油と同じ程度1)だが、AV、色の上昇は少なく、揚げ媒体としての適性を有していることが分かった。1)伊藤他、国産菜種油の調理特性の比較、食科工、58、309-317(2011).
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© 2015 日本調理科学会
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