日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-03
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ポスタ―発表
日干番茶粥の特性とえん下困難者用食品への応用
*金 一玲阿部 粋花塩谷 紗弥岩城 啓子
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抄録
【目的】えん下困難者用食品は近年需要が高まっているが,粥などのでんぷんを主とするゾル状食品では,喫食時の唾液アミラーゼ混入によりでんぷんが分解され物性が変化することから,誤嚥の原因になるといわれる。我々は,先に奈良県吉野地方特産の日干番茶の抗酸化性と嗜好性について報告し1),アミラーゼ阻害活性も有することを予想した。本研究では,日干番茶を用いた茶粥を調製し,唾液混入による物性の変化が抑えられるかについて検討した。
【方法】日干番茶(奈良県大淀町産)は粉砕(Iwatani IFM-700G)し,炊飯直前に加えた。米150gに水750gを加え電気炊飯器(タイガーJKS-G100)のおかゆメニューで調製したものを全粥(白粥と茶粥),これらを1分間ブレンダ―処理(T-fal HB4401JP)したものをミキサー粥(ミキサー白粥,ミキサー茶粥)とした。粥の物性測定は,厚生労働省のえん下困難者用食品試験方法に準じ,最大荷重,付着性,凝集性を求めた。唾液アミラーゼは,あらかじめ活性測定を行ったのち適宜希釈して粥に加え,経時的変化を調べた。さらに,茶粥の嗜好性は白粥を基準とし官能評価を行った。
【結果】全粥では,茶粥は10℃と45℃測定ともに,白粥より最大荷重と付着性が有意に大きかった。ミキサー粥ではどちらも最大荷重が1/3から1/5程度に低下し,付着性も1/2から1/8程度に低下し,ミキサー粥はすべて許可基準Ⅱ内であった。粥への唾液混入では付着性の急激な低下がみられたが,ミキサー茶粥はミキサー白粥より低下しにくかった。官能評価では,茶粥は白粥より好まれた。

1) 金一玲ら(2013), 日調科会誌, 46 (4), 292-298
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© 2015 日本調理科学会
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