抄録
【目的】本研究室では、これまでに短大生を対象に行ったアンケート結果で、食器洗浄方法は子どもの頃に家庭で教えられたことがわかった。洗剤使用量に各家庭で差があり、子どもの頃に正しい食器洗浄を身につける必要性を感じた。そこで、小学生を対象に食器洗浄の知識を与えることで節水に対する意識を高められないかと考え、簡易実験を通じて検討した。
【方法】サピックスecoクラブミドルコース小学4年生を対象に「食器洗浄と環境影響」について授業と実験を行った。始めに共通実験では全員が合成洗剤を用いて、同一洗浄条件で実施した。一方、この共通実験の結果や授業の情報をもとに、エコ洗浄実験として最も残留しやすい食用油を効果的に洗浄することを目的として、「環境にやさしい洗浄方法」を小学生に考えてもらい、ムクロジなどの天然洗剤を使用して食器洗浄を行い、実験を行った。さらに、児童に対して実験後にアンケートを実施して行動変容につながったか検証した。
【結果および考察】共通実験では、プラスチック容器を使い自ら振ることで食器洗浄機に見立てて洗浄し、その結果でんぷん・たんぱく質は標準の濃度の洗剤でも落とすことができることが分かった。エコ洗浄実験では、振る回数を増やす、スポンジで擦る、洗浄前に油を拭き取るなど、さらに多種類の洗剤を試し、結果それぞれの洗剤の欠点や利点などを理解した。これらの実験を行った後のアンケート結果から、「水を大切にしようと思った」、「環境問題はすごく難しい、もっと洗剤の種類や洗い方なども考えて使いたい」など、小学生に食器洗浄における洗剤と環境の関係について理解を深めてもらえたと考えられた。