抄録
【目的】災害時の食料支援については、過去に発生した災害時のデータをもとに食生活支援活動ガイドラインなどが示されている。被災時の食対策は、備蓄食品と救援物資を組み合わせたものであり、食品の備蓄は一般的には3日分が推奨されている。しかし、東日本大震災では、それ以降も救援物資は届かず、入手可能な食品で炊き出しが行われたため、料理に必要な調味料等も必要であった。そこで、過去の災害時の炊き出し献立を調査し、備蓄調味料等の適切な種類と量を検討し、行政など団体で災害時に備えるべき調味料等の基礎資料を得ることを目的とした。
【方法】1.調査対象:東日本大震災時に行われた炊き出し献立合計1961献立(行政機関23件、医療機関3件、社会福祉施設1件、企業121件)とした。2.調味料等の算出:献立より使用調味料等を抽出し、救援物資の到着が遅れた場合にも対応できる1人当たり7日分を算出した。なお、料理名のみの献立は、文献や一般料理書を参考に調味料等の使用量を決定した。また、調理は行わず既製品を利用したと考えられた料理は除外して算出した。
【結果】1人当たりの7日分の調味料等使用量は、しょうゆ191.8g、砂糖80.5g、味噌79.8g、みりん88.9g、麺つゆ60.3g、酒33.6g、顆粒和風だし33.6g、食塩11.2g、カレールー62.3gであった。衛生面を考慮して加熱料理が多いためサラダ油(74.9g/1人当たり7日分)が多量に使用されていた。これらのことから、行政や施設などの団体で備蓄すべき調味料等は、食塩、味噌、顆粒和風だし、しょうゆ、砂糖、サラダ油であると考えられた。さらに、常時給食を提供している施設では、本調査から得られた備蓄すべき調味料の種類と量を指標として、サイクル利用を実践することで、無駄なく調味料等を備蓄できると考えた。