抄録
【目的】食べる機能が低下した高齢者の主食となる米粥は、味、食感などのバリエーションを増やすことや栄養素を付加する目的で、野菜、鶏肉などの具材を入れて提供されている場合がある。具材と粥飯は食塊形成中、口中で分離することにより具材が口中に残留し、誤嚥を引き起こすことがある。本研究では粥飯に対し、どのような力学特性を有する具材であれば口中で食塊形成しやすいかについて検討した。
【方法】モデル具材として、縦、横、厚さともに5mmに切断した五寸人参を用いた。人参は4倍重量の蒸留水を加えて真空充填を行い、95℃で60、90、120分間加熱を行った。米粥は米重量の5倍の蒸留水を加え真空充填後95℃60分間加熱した。力学的特性は粥飯1粒、加熱人参1個について圧縮速度0.5mm/s、圧縮率90%で測定を行った。また、全体重量の20%を加熱人参に置き換えた具材入り米粥のテクスチャー特性の測定を行った。食べやすさの評価として一対比較法により官能評価を行った。加えて、高齢者施設において全歯欠損の高齢者に試食してもらい、嚥下直後の口中残留の様子を観察した。
【結果】品温45℃の圧縮率90%における粥飯粒と90分間加熱人参粒の荷重は同程度であり、粥飯粒に比べ60分間加熱人参の荷重は大きく120分間加熱人参の荷重は小さくなった。粥飯に具材を入れることで凝集性は小さくなり、付着性は小さくなった。官能評価では、粥飯粒よりも90%圧縮時の荷重が大きい60分間加熱人参を含む具材入り粥は、他の試料に比べ食べにくいと評価された。高齢者による試食では、60分間加熱人参を含む具材入り粥を試食後、口中に人参が残留していることが認められた。