日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1B-a2
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口頭発表
コラーゲンペプチドのコク増強効果
*高橋 由希
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抄録

【目的】「コク」とは厚み、広がり、芳醇性、奥深さ、増幅感、重量感、持続性後味、まろやかさが口腔内で感じる感覚と言われている1)。従来、ゼラチン2)や酵母エキス3)等を添加した際にコクが増強されることが知られている。本研究では、ゼラチンの分子量に着目し、ゼラチンを酵素分解し、分子量の違いによるコク増強効果について鰹だしやチキンスープ、牛乳等で確認した。その中でも、牛乳への効果が高く、牛乳のコクは乳脂肪分に関係4)することから、乳脂肪感に着目し比較検証をした。
【方法】1.ゼラチン及び分子量の異なるコラーゲンペプチドを牛乳に添加し、「乳脂肪感」について官能評価をした。2.全脂粉乳と脱脂粉乳から作成した乳脂肪分0、1、2、3%溶液を指標とし、乳脂肪分1%の溶液に、コラーゲンペプチド、ゼラチン、酵母エキスを添加し味覚センサーと官能評価により比較した。
【結果】1.官能評価の結果から、平均分子量2,000~3,000のコラーゲンペプチドを添加した試料に、厚みや乳脂肪感といったコクを感じることができた。2.味覚センサーの結果では、平均分子量2,000~3,000のコラーゲンペプチドには、乳脂肪分の配合量を増やしたときと同様の乳脂肪感の増加効果があり、官能評価と同様の結果となった。以上のことから、ゼラチンを酵素分解した平均分子量2,000~3,000のコラーゲンペプチドには、乳脂肪感に対するコク増強効果が示唆された。
1)日本調理科学会誌,43,327-332(2010) 2)日本調理科学会誌 ,36,55-62(2003)
3)日本醸造協会誌,102,520-526(2007)  4)農業機会学会誌,75(1),37-44(2013)

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