日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-41
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ポスター発表
沢あざみの食文化と成分特性(一般成分および食物繊維)について
山澤 和子*森 菜摘*安井 見空
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抄録

【目的】沢あざみは平成26年“味の箱舟”に登録されたキク科の多年生植物で、岐阜県揖斐川町近隣地域で古くから葉軸が食用とされている。沢あざみの認知度は極めて低く七訂日本食品成分表非収載の食品で、地域性が極めて高い野菜である。本研究では、沢あざみの伝統的利用法や現在の普及活動等の実態を調査すること、並びに葉軸の成分を類似食材のフキ葉柄等のそれらと比較し、その特徴を検討することを目的とした。
【方法】調査:食材としての歴史や栽培方法、利用法等を岐阜県揖斐川町春日地区の生産者から聞き取り調査した。成分分析:五訂増補日本食品標準成分表分析マニュアルに準じ、一般成分および食物繊維(DF)を分析した。分析用試料は、岐阜県揖斐川町春日産の栽培種の葉身を平成27年4・6・9・11月に栽培環境(山傾斜地・平地)別に入手し洗浄後速やかに葉軸と葉肉に分け凍結乾燥し粉末とした。
【結果】利用法:早春の新芽は葉身ごと天ぷらに、成長した葉身の葉軸は混ぜご飯やみそ汁の具材、煮物や漬物の素材として、旬でない時期には塩蔵保存品を用いる等古くから周年食されていた。特に祭事等には「ふるさとの味」として年齢を問わず親しまれている食材であった。伝承と普及のため、あざみご飯、おやき、カレー、パウンドケーキ、ラスク、シフォンケーキ等の具材に用い学校給食に供したり、土産品として販売していた。葉軸の成分:沢あざみの葉肉に比し水分・炭水化物・SDFが、またフキに比し灰分・タンパク質・炭水化物・DF(特にSDF)が多かった。栽培環境による成分量の違いは少なかったが、収穫期別では収穫月を経るに伴い灰分およびたんぱく質は減少、炭水化物およびDF総量は増加の傾向を示した。また、DF中SDFは収穫初期ほど、IDFは6~11月収穫物に多かった。

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