日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-58
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ポスター発表
茎ワカメの体成分分析および調理加工法の検討
荒木 葉子*金木 尚志*矢田 歩黒須 楓
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抄録

【目的】近年、茎ワカメの加工品がおつまみやおやつとして受けいれられ、市場での広がりを見せている。ワカメの水溶性食物繊維、ミネラルなどはその健康機能性に関する報告も多い。そこで、本研究では、茎ワカメのそれらの成分量を測定するとともに、調理加工の影響を調べた。また、様々な調理メニューへの応用を試み、これまで大量に廃棄されていた茎ワカメを有効利用し、さらに広く普及するための知見を得たいと考えた。
【方法】茎ワカメ試料として、原藻、塩蔵ボイル品、調理品の3種類を用いた。それぞれ凍結乾燥後にミルで粉砕したものを供試した。水溶性食物繊維については、試料の希塩酸抽出液をアルコール分別法で処理して粗フコイダンを抽出し、その残渣に1%炭酸水素ナトリウムを加えたものをアルコール分別法に供してアルギン酸画分とした。その残渣は、不溶性食物繊維とした。ミネラルの測定には原子吸光分析法を用いた。
【結果】食物繊維を測定した結果、茎ワカメ原藻、塩蔵ボイル品、調理品の順に、フコイダンが1.7%、1.3%、0%(乾燥物中、以下同様)、アルギン酸が24.7%、15.3%、10.0%、不溶性画分が21.4%、13.5%、10.6%となり、加工工程が進むにつれていずれも減少が認められた。これは、塩蔵によりミネラルが増加したため食物繊維の構成比が低下したと考えられる。また、調理品では、調味液に酢が配合されていることによってフコイダンが流出した可能性が示唆された。ミネラル類については、塩蔵処理によりナトリウムが著しく高含量となったが、その他ではカリウムが最も多く、カルシウム、マグネシウムも豊富で、茎ワカメは主要ミネラルの供給源として有用と考えられた。調理メニューとしては、若い世代にも好まれるピザ、パスタなどを試作した。

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