日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-17
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ポスター発表
カキ「太秋」の鮮度保持技術
小河 拓也
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キーワード: カキ, 鮮度保持, 物性
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抄録

【目的】「太秋」は1995年に品種登録された完全甘ガキであり、他品種にはみられないサクサクとした食感が最大の特徴である。その食味の良さから、普及が進みつつあるが、収穫が一時期になることから、保存技術の確立が望まれている。特に、この食感を長期間維持することがブランド化につながることから、「太秋」の食感を評価し、食感を維持する鮮度保持技術を検討した。
【材料および方法】神戸市産「太秋」を供試した(収穫日10/19)。収穫した果実をかき用カラーチャート(農林水産省果樹試験場監修)で果頂部の果皮色が3.2以上のものを試験に用いた。保存温度は20、5、2および0℃とした。2℃においては、果実を0.06mm低密度ポリエチレンフィルム(PE)で密封した区も調査した。保存後、5日毎に7果実を調査した。品質評価は外観、水分、糖度および滴定酸度を調査し、食感は破断測定において軟化の程度を5段階(5:収穫直後-3:小売り限界-1:完全軟化)で評価した。
【結果】保存日数が経過するとともに果実重量は減少した。保存温度が高い方が減少の割合は大きく、20℃貯蔵では14日間で8%以上重量が減少した。包装した場合、重量の減少は極めて小さかった。日数が経過するとともに果実色は増加し、保存温度が高いほど急速に増加したが、2℃において包装した場合との差はみられなかった。果実の破断測定において20℃で収穫5日以降にやや軟化がみられ、以降も軟化は進み、10日後には食感が4~3程度なった。軟化は20℃=5℃>2℃>0℃の順に早く、0℃で6週間程度の鮮度保持効果がみられた。PE密封区には鮮度保持効果がみられ、2℃PE包装と0℃無包装が同程度であった。糖度および酸度は個体差が大きく保存による差はみられなかった。

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