日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-18
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ポスター発表
パイナップルジュースの評価における味覚センサ法と糖度・酸度の比較
八ッ橋 瑶子*大野 侑*𠮷田 瑞恵河内 公恵
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抄録

【目的】酸味と甘味は果汁の嗜好に大きく影響するが、人による評価では、酸味と甘味は相互に抑制効果があることが知られている。本研究では、抑制効果がある場合に、味覚センサ法と糖度・酸度がどのように官能評価結果と対応するかを比較することを目的とした。
【方法】市販パイナップルジュースに、酸類、糖類を各4水準添加し計16試料を調製した。官能評価で甘味と酸味の順位法と、強く感じる味(甘味、同等、酸味)を評価し、味覚センサ、糖度、酸度を測定し、得られた指標間でスピアマンの順位相関係数を求めた。強く感じる味をグループ化変数、糖度と酸度を独立変数として判別分析を行った。
【結果】順位法の酸味は酸類の添加量と対応したが、甘味は糖類の添加量に応じた結果は確認できなかった。判別分析の結果、強く感じる味に対し酸度の寄与が高かった。これらの結果より、酸味による甘味の抑制効果が確認された。「甘味の平均順位」と「糖度」の間ではほとんど相関がみられなかったのに対し、「甘味の平均順位」と「味覚センサの甘味」は高い負の相関が認められた。「甘味の平均順位」と「味覚センサの甘味」のプロット図では、低い酸度(0.87,1.01)では「甘味の平均順位」と「味覚センサの甘味」が対応している傾向があったが、高い酸度(1.17,1.35)では、官能評価とやや解離がみられた。酸味では、「酸味の平均順位」「酸度」「味覚センサの酸味」との間で、いずれも高い相関が認められた。以上の結果より、低い酸度では味覚センサが官能評価と同様に酸味による甘味の抑制効果を示す可能性が示唆された。

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