日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-53
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ポスター発表
熟達者と初心者の調理行動の相違点
高橋 ひとみ*柳沢 幸江
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キーワード: 調理行動, 熟達者, 初心者
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抄録

【目的】調理技能レベルの異なる熟達者と初心者の調理行動を分析し、技能、調理操作、調理の段取りの相違点を明らかにすること、また同じ料理を繰り返し作ることによって起こる調理行動の変化をとらえることを目的とした。さらに、熟達者と初心者の知識獲得の違いから考察を行った。
【目的】対象者は、熟練者として栄養士免許等を持つ女性8名と初心者として調理経験が少ない女子大学生8名とし、豚肉のしょうが焼き(つけあわせ・せん切りキャベツ)、ほうれん草のお浸しの2品を2回調理した。調理行動は総移動距離、ゆで時間等の調理操作の時間を求め、できあがった料理の肉、ほうれん草の硬さやキャベツなどの形状を測定した。さらに、対象者に半構造的インタビューを行い、知識・意識の分析を行った。
【結果】熟達者と初心者で有意差がみられた項目は、調理時間、レシピを見た時間、総移動距離、キャベツのせん切り時間、キャベツのせん切り太さ、ほうれん草のゆで時間、ほうれん草の硬さの項目であった。
キャベツの太さは、熟達者では1回目、2回目調理でほとんど変化がないが、初心者は1回目4.67mm、2回目調理3.96 mmと有意に細くなった。初心者は「気づき」(メタ認知)が起こり、太さに変化が起きたが、せん切りの時間が長くなった者が多く、技能が身についたとは考え難い。お浸しのほうれん草も初心者は、軟らかいという「気づき」はあったものの、ゆで時間など調理操作の変更し、硬さを変えることはなかった。
また、調理操作を12ブロックの段取りにまとめ分析した。熟達者は1回目、2回目調理でほとんど変化がなかった。初心者は1回目調理の段取りはレシピに記載の順で行った者が多かったが、2回目調理では、より効率的で、料理がおいしく仕上がる熟達者の段取りに近づいていった。

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