日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-7
会議情報

口頭発表
豆類抽出液が米粉パウンドケーキの特性に与える影響
川口 典大*伊藤 聖子*新井 映子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】近年,小麦アレルギーの増加に伴い,米粉を原料とするグルテンフリー食品の需要が増加している。しかし,米粉はグルテンを形成しないため,パンやケーキに用いた場合に膨化性が悪く,小麦粉とは異なる特有のテクスチャーを示す。先に我々は,グルテンフリー米粉パンに豆乳を使用すると,膨化性が改善することを報告した。本研究では,米粉を用いて鶏卵,乳製品,小麦の3大食物アレルギー物質を含まないパウンドケーキを調製するに当たり,豆乳に代わって米粉パウンドケーキの膨化性やテクスチャーの改善に寄与する豆類抽出液の探索を目的とした。

【方法】豆類は,一般的に入手しやすく系統の異なる,ささげ,大福豆,緑豆および大豆を用いた。各豆に乾燥重量の7倍量の水を加えて2日間浸漬後,ミキサーで破砕し,遠心上清を豆抽出液とした。パウンドケーキ(以下ケーキ)の材料は,小麦粉を米粉,バターをオリーブオイルに置換し,鶏卵の代わりに水または豆類抽出液を加えてケーキを調製した。ケーキの比容積,テクスチャー,色調,クラム組織について,水および豆類抽出液の影響を比較した。

【結果】大豆と大福豆を使用したケーキの比容積は,水,ささげ,緑豆よりも高値となり,大豆と大福豆の間に有意差は認められなかった。クラムの硬さは,ささげと大福豆が大豆と同程度であった。クラストの色調は,大豆が最も焼き色が濃くなったが,クラムの色調に差は認められなかった。以上の結果と,大豆アレルギーを考慮した場合,3大食物アレルギーフリーの米粉パウンドケーキには,大福豆抽出液の使用が有効であると考えられた。

著者関連情報
© 2017 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top