抄録
【目的】むらさき麦は、愛知県岡崎市藤川地区において江戸時代から染料の材料として栽培されていた。一旦、栽培が途絶えたが、町おこしの一環として栽培し、食利用が進められている。むらさき麦は、大麦品種で、アントシアニン色素を含む紫色を有し、大麦同様食物繊維の摂取が期待できる。また、小麦製品を食べられない人にもグルテンフリー食品としての利用が考えられる。小麦のタンパク質と違い、むらさき麦粉では、ドウ形成ができず膨らみが悪くなることが分かっている。そこで、身近なケーキを用い、膨化の検討を行い、機能性を付与したケーキの開発を目標とした。本実験では、薄力粉を使用せずに、むらさき麦粉のみのケーキの性状におよぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】ケーキ材料は、卵、砂糖、水に粉を加え作製した。ケーキの膨化は、卵の泡立て(泡)とベーキングパウダー(BP)を用いた。むらさき麦粉を用いたケーキをむらさき麦粉泡、むらさき麦粉BPとし、むらさき麦粉の対照として薄力小麦粉を用いたケーキを小麦粉泡、小麦粉BPとした。測定項目は、破断応力測定は、クリープメーター(山電)を用いた。色調は、色差計(日本電色)を用い測定した。官能評価は、分析型官能検査(n=9)および嗜好型官能検査(n=43)を5点評点法で行った。
【結果および考察】むらさき麦粉は、小麦粉に比べ高さが低くなった。特に、BPは膨化が小さく破断応力が2.88×105N/m2と、小麦粉BPの約1.2倍、小麦粉泡の約1.5倍に増加した。色調は、茶色となり、L*値、a*値、b*値ともに下がった。そのため、分析型官能評価結果は、むらさき麦粉BPが小麦粉に比べ色が悪く、きめが粗く硬い評価となった。一方、むらさき麦粉泡は、小麦粉BPよりも硬さで良い評価となった。さらに、嗜好評価の結果、むらさき麦粉泡が小麦粉に次いで好まれた。以上のことから、卵の泡立てにより食感の改善ができることが示唆された。