日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-12
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口頭発表
加工タピオカ澱粉を用いたカスタードクリームの口どけに関する研究
芹生 直子*近堂 知子*高橋 節子平尾 和子
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抄録

【目的】近年タピオカ澱粉にリン酸架橋,アセチル化リン酸架橋を施した後,これらに酵素処理を施した加工澱粉が開発された。我々はこれら加工澱粉の基礎的性質およびカスタードクリームへの利用について報告した1)。本研究では,これらのカスタードクリームを用いて,嗜好に大きく影響を与えると考えられる「口どけ」の測定法について検討を行った。
【方法】試料はタピオカ澱粉にリン酸架橋(P),アセチル化リン酸架橋(AP),リン酸架橋+酵素処理(P+E),アセチル化リン酸架橋+酵素処理(AP+E)を施した加工澱粉4種(グリコ栄養食品(株))を用いたカスタードクリーム,比較として薄力粉,とうもろこし澱粉,タピオカ澱粉を用いたもの,市販品2種を使用した。測定はクリープメータによるテクスチャーおよびレオログラフゾルによる動的粘弾性を行った。また流動特性はコーンプレート型粘度計を用い,ずり速度を1~100sec-1まで増加させた後,再び1sec-1まで減少させて測定した。さらにクリープメータによる連続圧縮測定により,最初の圧縮距離を5mm,加算距離0.5mmとして20回圧縮したときの硬さを求めた。官能評価は順位法により行った。
【結果】薄力粉と加工澱粉3種(P,P+E,AP+E)を用いたカスタードクリームの硬さ,付着性は,室温より口腔内温度で小さくなり,同程度の値を示した。動的粘弾性では,P,P+EのクリームはAP,AP+EよりもG'およびG”が高い値となった。降伏応力は加工澱粉3種が薄力粉に比べて大きく,チキソトロピー特性値,粘稠性係数は薄力粉,P+Eが小さい値となった。粘度測定から求めたチキソトロピー特性値および流動性指数は,官能評価のなめらかさ,口どけと高い相関が認められた。連続圧縮測定では,P+Eは口どけが良いとされる一般食品に最も近い図形を示した。これらのことから粘度測定および連続圧縮測定が口どけを示す測定法として有効と考えられた。(1)日本調理科学会平成27年度大会要旨集 p.50)

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