日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2C-6
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口頭発表
しょうゆと郷土料理の相性に関する研究 (第3報)ー関東ー
今井 悦子*小林 久子*牛尼 翔太今村 美穂
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抄録

【目的】和食において重要な調味料であるしょうゆは、各地で独自なものが使われている。各地のしょうゆとその地の郷土料理の間に相性があるのか、相性があればどのくらいの年齢からかを官能評価を用いて明らかにすることを目的とし、本研究では関東在住者について検討を行った。
【方法】パネルは幼児、小学生、中学生、大学生、成人、高齢者のいずれも女性(各50~80名)とした。試料は関東風大根の煮物および冷奴とした。しょうゆは、北海道、関東、九州で各地域それぞれ多く使用されているものを、中学生~高齢者は3地域の各2種類(A、B)、小学生以下は3地域の各1種類(Aのみ)用いた。官能評価は、嗜好(香り、色、味)および試食後の印象(普段の味、ほっとする味、懐かしい味)について、9段階および7段階評点法で行った。各年代、各しょうゆ、嗜好および印象の結果の解析はWilcoxonの符号順位検定を用いて行った。
【結果および考察】大根の煮物では、香り、色、味はほぼどの年代でも有意に好まれたが、その程度は北海道A、Bと関東Bがやや低く、関東Aと九州Bがやや高い傾向があった。試食後の印象は、ほぼ全年代・項目で、北海道A、Bは有意に「当てはまらない」、九州Bは有意に「当てはまる」と評価された。総合的には、大根の煮物では九州のしょうゆのほうが相性が良いと考えられた。冷奴も香り、色、味はどの年代でも有意に好まれ、その程度は香りでは関東Aと九州Bがやや高く、味では北海道A、Bと九州Bがやや高い傾向があった。試食後の印象では、北海道Aと九州Aは有意に「当てはまらない」の評価が多い傾向にあった。冷奴でも関東のしょうゆが他しょうゆよりも特に相性がよいとは言えなかった。

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