日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1B-1
会議情報

口頭発表
カボチャ「えびす」のでん粉の特性とサラダの嗜好性( 第2報)
北海道産と鹿児島県産の「えびす」の研究
白 璐*山田 伽奈子*松枝 博明宮崎 直人吉元 寧川邊 清隆西田 毅松田 寛子白井 隆明島本 国一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】国産カボチャ生産量の,1位は北海道,2位は鹿児島県であるが,収穫時期が異なり,夏期に収穫される鹿児島県産と秋期の北海道産では,食味や食感に差がある。本研究では,北海道と鹿児島県のカボチャを収穫時と貯蔵中の成分,抽出でん粉の理化学的性質,サラダの嗜好性を見ることで,両者の変化を比較し差違を明らかにすることを目的とした。
【方法】前報での北海道産「えびす」カボチャと同様に鹿児島県産「えびす」カボチャを貯蔵し,収穫直後と1か月貯蔵の分析をおこなった。カボチャのでん粉を精製し,ラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)で粘度測定,粒度分布,損傷でん粉,顕微鏡観察によりでん粉の分解の評価をおこなった。同時にカボチャの固形量や遊離糖量などの基本成分を測定した。サラダは,マヨネーズタイプで作製し官能評価による嗜好調査をおこなった。
【結果】鹿児島県産のカボチャでん粉(6%)のRVA粘度特性は,収穫直後では,馬鈴薯のように急激に粘度が上昇した後粘度が低下し冷却後粘度が上昇する。1ヵ月貯蔵すると急激な粘度上昇ピークが消失し,最高粘度は約70% に減少するが,冷却後の粘度上昇は一致した。粒度分布による平均粒径は,小さくなり,損傷でん粉は,増加した。収穫直後の結果は、北海道産と鹿児島県産で一致した。また北海道産の2か月貯蔵と鹿児島県産1ヵ月貯蔵の粘度や粒度分布は一致したが,遊離糖,Brix糖度は鹿児島県産が高い傾向にあり,でん粉分解速度が速いことが示唆された。サラダの嗜好性は,鹿児島県産は,早期に加工すると北海道産に近い固形感を持つが,貯蔵による固形感,硬さは急速に変化する傾向にあった。

著者関連情報
© 2017 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top