日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1B-2
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口頭発表
カボチャ「えびす」のでん粉の特性とサラダの嗜好性(第3報)
「えびす」の澱粉の物理化学的性質
吉元 寧*宮崎 直人*白山田 伽奈子松枝 博明川邊 清隆西田 毅松田 寛子白井 隆明島本 国一
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キーワード: カボチャ, サラダ, 澱粉
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抄録
【目的】カボチャに含まれる澱粉は収穫時期の遅れやまた貯蔵中に分解が始まり,その結果食味やサラダの嗜好性に影響を及ぼすことが示唆されている。このように,澱粉の分解は利用面において重要な因子であるにも関わらず,澱粉を調製してその物理化学的性質の変化を調べた報告はほとんど見当たらない。そこで本研究では主要品種である「えびす」について,産地並びに収穫時期が異なる果実から澱粉を調製し,その物理化学的性質の変化の挙動を明らかにすることを目的とした。
【方法】供試した「えびす」は鹿児島並びに北海道で適正時期に収穫したもの,収穫後1ヶ月間保蔵したもの,並びに1ヵ月後に収穫したものを用いた。調製した澱粉の糊化特性はラピッドビスコアナライザー(RVA),熱特性は示差走査熱量計,粒度分布はレーザー回折式測定装置で測定した。損傷澱粉とアミロース含量は市販のキットを用いて求め,澱粉粒の表面は走査型電子顕微鏡で観察した。
【結果】RVAによる糊化特性では北海道産,鹿児島県産いずれも適正時期に収穫したものは類似したプロフィールを与えた。一方,収穫時期の相違においては,最高粘度は適正時期に収穫したものが最も高く,保蔵したものと収穫時期をずらしたものはほぼ同程度の値を示した。粒度分布でも顕著な相違が認められ,適正時期の平均粒径は他のものと比較して最も大きく,また15mm以上の粒が多いことが特徴であった。これらのことから,適正時期に収穫すると産地が異なるにも関わらず、澱粉の糊化特性は類似していることがわかった。一方,収穫時期の相違においては,いずれの産地においても澱粉の含量はもとより,その物理化学的性質も大きく変化することが明らかとなった。
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