日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1B-3
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口頭発表
滋賀県伝統野菜の継承に向けた特性評価
東 亜莉沙*森 太郎*岡本 藍山下 悟上町 達也畑 直樹久保 加織
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抄録

【目的】伝統野菜は、地域の気候や風土のなかで種子の保存がなされてきた。また、味や形、香りなどに特徴を持つものが多く、地域の食文化とも密接な関係がある。しかし、生産性や流通性の問題、食生活の変化などにより、均一な形と大きさの生産物が収穫できるF1種子が市場に出回るようになり、継承が危ぶまれている伝統野菜もある。そこで本研究では、滋賀県の伝統野菜の継承を目的として、近年注目されている機能性を一般野菜と比較することにより評価した。
【方法】滋賀県内で栽培された伝統野菜10品目17品種と滋賀県内のスーパーマーケットで購入した一般野菜を供試した。HPLCによりアスコルビン酸、βカロテン、クロロゲン酸、カプサイシノイド類を定量した。比色法によりアントシアニン、ピルビン酸を、フォーリン・チオカルト法により総ポリフェノールを、測定キットを用いてレジスタントスターチをそれぞれ定量した。抗酸化性についてはDPPHラジカル消去活性を測定して評価した。
【結果】抗酸化性および抗酸化性関連物質含量は、弥平とうがらし(カプサイシノイド類、DPPHラジカル消去活性)、坂本菊(βカロテン、総ポリフェノール、DPPHラジカル消去活性)、多くのカブ類の根部(総ポリフェノール)、日野菜の葉部(総ポリフェノール含量、DPPHラジカル消去活性)、北之庄菜の葉部(βカロテン)、伊吹大根(DPPHラジカル消去活性)において同品目の一般野菜より高かった。また、秦荘やまいもでは食物繊維に関連するレジスタントスターチ含量が同品目の一般野菜より高かった。以上より、滋賀県の伝統野菜には機能性においても特徴的な品種があることが明らかになった。

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