抄録
【目的】肉豚生産は、繁殖性を重視した雌豚(ランドレース種と大ヨークシャー種を交配)に肉質に大きく関与する雄豚(デュロック種)を交配する方式がとられ、国産豚の多くがこの三元交配による交雑種である。一方、海外でも、育種改良されたハイブリッド豚が多く開発され国内に導入されている。そこで、本研究では国内種が海外種と比較して、どの程度の水準であるかを食味評価により検討することを目的とした。
【方法】試料は国内三元豚のAおよび海外ハイブリット種4種B、C、D、Eの計5種とした。部位は胸最長筋を用いた。調製は170℃のオーブン中で天板にのせ、内部中心温度が70.0℃に達するまで加熱した。途中、前後を入れ替えた。その後1.0㎝厚さにスライスし、1枚を筋肉部分と脂肪部分のどちらも付いた状態に切り分け、官能評価用試料とした。筋肉評価項目はテクスチャー6項目、フレーバー4項目、脂肪部は3項目および総合評価とし、訓練パネルによる8段階尺度の分析型官能評価を行った。併せて山電製レオナーRE2-33005Bによる定速圧縮破断測定も行った。
【結果】海外ハイブリット種においてCはやわらかさ(後)の項目で種Eに比べ有意に高値であった。また、総合的食感の項目で、CはBより有意に高い結果であった。Bは破断測定値も高値で、硬い肉質と考えられた。国内三元豚のAは海外ハイブリット種のDに比べ、脂肪のやわらかさにおいて有意に高い結果であった。全体的に、フレーバー項目において品種間に有意な差は認められず、テクスチャー項目が豚肉において食味評価に影響を及ぼすことが考えられた。以上より、汎用性の高い海外種は、国内三元豚Aに比べ、肉質が劣るとされていたが、今回の調査では大きな差が認められなかった。