日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-14
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ポスター発表
調味料による養殖トラフグ肝臓(無毒)加工品のにおいおよび嗜好性の改善
大貫 和恵*武藤 亜矢*五百藏 良野口 玉雄
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キーワード: フグ肝, におい, 加工品
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抄録
【目的】フグの肝臓には,フグ毒テトロドトキシン(TTX)が含まれているとして,全てのフグ類の肝臓が廃棄されてきたが,無毒トラフグの生産が可能になり,本研究では,未利用資源トラフグの肝臓(フグ肝)の利用を見据えて,加工品の嗜好性を高めるべく,加熱時に生成される魚類特有のにおいを軽減させるため,魚臭抑制効果がある調味料(味噌,日本酒,赤酒)を組み合わせて加工処理した加工品の嗜好性を官能評価より明らかにする。

【方法】管理の行き届いた室内の開放系循環水槽(佐賀県)で2年間養殖したトラフグの肝臓を用い,公定法に準じて毒性(TTX)試験した。そのフグ肝に味噌と日本酒あるいは赤酒を混合した各調味料に漬けて下処理し,パウチ詰めにて加熱処理をした加工品を作製した。混合調味料は,味噌1に対し赤酒1,2,3とし,日本酒も同様に調製して各調味料の濃度を検討した。作製した全6種の加工品につき,においと味の嗜好性を官能評価(順位法,5段階評点法)した。

【結果】毒性試験の結果,フグ肝は10 MU/g未満で無毒であった。官能評価の順位法の結果,味噌と赤酒1:1で処理した加工品の「味」は,最も好まれ(p<0.01),「におい」も最も感じられない傾向であった。日本酒と味噌で処理した加工品の「味」は,1:1が最も好まれる傾向,「におい」は,類似した評価が得られた。5段階評点法の「におい」および「味」は,味噌と赤酒(1:1)で処理した加工品がそれぞれ3.7±1.0,3.7±0.9で,最も好まれる傾向となった。
 以上により,味噌と赤酒で処理したフグ肝は,魚臭抑制効果や嗜好性が高く,各調味料1:1が最適な割合であることが分かった。
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© 2017 日本調理科学会
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