日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-22
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ポスター発表
加熱調理がカロテノイド及びポリフェノール系成分由来の抗酸化力に及ぼす影響
人参の煮物の場合
*槇原 咲貴高木 陽子菊﨑 泰枝
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抄録
【目的】
現在わが国では、食品における抗酸化力の統一指標としてORAC法及びSOAC法が提案されており、栄養疫学調査や日常の食事管理への活用が期待されている。本研究では、その有用性を検討するために、にんじんの煮物においてカロテノイド系成分、ポリフェノール系成分の抗酸化力に対する加熱調理の影響を調べる事を目的とした。
【方法】
実験1:加熱前の各食材とそれらの食材を用いて20分間調理した料理を凍結乾燥により粉末状にし、脂溶性画分と水溶性画分に分けて抗酸化活性を測定した。抗酸化活性はSOAC法、ORAC法及びDPPHラジカル捕捉活性法を用いて測定し、ポリフェノール含有量はFolin-Ciocalteu法を用いて定量した。各測定により算出した料理の予測値と実測値を比較検討した。
実験2:実験1と同様の食材を用いて、加熱調理による抗酸化力の経時的変化、更に調味料が抗酸化力に及ぼす影響を検討するため、にんじんの煮物では20分・30分・40分、調味料のみは5分・10分・15分加熱した試料を調製した。抽出方法は実験1と同様とした。測定方法はSOAC法を除く3種の方法を用い、各測定値により算出した料理の予測値と実測値を比較検討した。
【結果】
実験1:20分間の加熱では、4種の測定法すべてにおいて予測値と実測値に有意な差は見られなかった。
実験2:加熱時間が長くなるほど、3種の測定法すべてにおいて抗酸化力が上昇する傾向が見られたが、予測値と実測値に有意差は見られなかった。40分間調理した煮物と調味料のみを15分間加熱した場合は抗酸化力が大きく上昇したが、可食状態とは言えなかった。以上より、にんじんの煮物においては、通常の調理を想定した美味しく食べられる範囲では非加熱時の抗酸化力から加熱調理後の抗酸化力が推測できることがわかった。
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