日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-60
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ポスター発表
各種添加物溶液がアントシアニン(AN)含有馬鈴しょに与える影響
*綿貫 仁美吉田 沙紀山﨑 薫林 一也田宮 誠司
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抄録
【目的】馬鈴しょANは, 多くの機能性を有するが, 調理で退色や変色をしてしまう。特に水を介した調理で不安定となりやすい。そこで,種々の調味成分を含む溶液で水煮調理し, AN含有馬鈴しょの色調および硬さにどのような変化が生じるか検討を行った。

【方法】試料はキタムラサキ(KM), ノーザンルビー(NR), シャドークイーン(SQ)を用いた。5%, 10%, 20%スクロース溶液, 0.1%, 0.2%, 1%酢酸溶液, 1%, 2%, 3%塩化ナトリウム溶液, 0.5%, 1%, 2%クエン酸溶液, 0.5%ミョウバン溶液の各溶液で馬鈴しょ塊茎(スライス)を 加熱した。加熱後切片の色調を色差計(L*, a*, b*)で測定した。切片の色素量を測定し,AN残存率を比較した。各添加物溶液の中でAN残存率が高かった溶液については,加熱後の切片をクリープメーターで最大荷重を測定した。

【結果】色差計による測定では, 酢酸溶液では, KM, NRで生とくらべa*値が負に移動したが, SQでは正に移動した。クエン酸溶液では, 3品種とも濃度が上がるに従い, 色調の変化が大きくなった。ミョウバン溶液では, 3品種ともb*値が負に移動し, SQではa*値が正に移動した。3品種ともにAN残存率が高かった溶液は, 3%塩化ナトリウム溶液, 0.5%ミョウバン溶液であった。濃度の高い溶液ほどAN残存率が高かった。最大荷重では, 蒸留水で水煮調理時の最大荷重と比べKM, SQにおいて1%酢酸溶液で約6.7~7.4倍の高い値を示した。一方, NRでは1.4倍の値を示した。20%スクロース溶液, 3%塩化ナトリウム溶液では, 3品種ともに蒸留水での水煮調理時とほぼ同じか, それ以下の最大荷重となった。添加物溶液の違いにより, 品種間で最大荷重の違いが生じることが明らかとなった。
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