抄録
【目的】幼児の健康障害の一つとして便秘があるが、幼児期の食生活の管理は保護者に委ねられており、母親の影響を大きく受けると報告されている。本研究は幼児の望ましい食生活や生活習慣を形成するために、保護者の食生活習慣・栄養摂取状況と排便習慣との関連について検討したので報告する。
【方法】調査期間は平成27年12月から平成28年4月、対象者はF県K町の同意が得られた保育所保護者62名。調査内容は1)食生活習慣に関する実態調査2)食事の実態調査(秤量記録法で平日3日間、食前食後の料理を写真撮影した) 3)排便習慣は17項目調査した。4)解析は統計解析ソフトSPSS Statistics ver.22を用い、栄養価はエクセル栄養君Ver.8で算出した。栄養摂取量別3群は食事摂取基準2015年版の基準値±10%を中摂取群、9%以下を低摂取群、11%以上を高摂取群とした。この研究は中村学園大学の倫理委員会から承諾を得ている。
【結果と考察】栄養摂取状況の18~29歳と30~46歳は基準値に対してそれぞれ、エネルギーは85.6%、83.1%、食物繊維は50.0%、61.1%、カルシウムは52.2%、62.6%、マグネシウムは75.6%、75.9%、鉄は54.3%、58.1%であった。食生活習慣では、料理を作る人は62.0%、野菜料理を日常に取り入れるは85.5%、郷土料理を積極的に取り入れるは16.1%を占めていた。朝食の欠食者は15.1%であり、薄味を好まないが47.8%、あまり咀嚼をしないが22.6%であった。排便習慣では、排便を我慢するが50.0%を占めていた。栄養摂取と排便習慣との関わりで、便の量はバナナ1本以上群とバナナ1本未満群を比較すると、脂質、α-トコフェロール、食物繊維、マグネシウムは低摂取群より中摂取群で便の量が5%レベルで有意に高い値を示した。以上の結果より、保護者の食事や排便についての栄養の教育が必要であることが示唆された。