日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-16
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ポスター発表
魚焼成過程における香気成分の解析
*古川 裕子福岡 美香酒井 昇
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抄録

【目的】焼き魚はグリルの片付けや臭いにより家庭での調理は敬遠されるため,調理済み製品としての需要が高い.販売店での調理には技術や経験が必要であるため,自動的に最適な加熱調理のできる機器の開発が求められている.本研究では,焼き魚調理過程で発生する香りの変化に着目し,調理過程での焼き色の変化とそれに伴い発生する香りの相関関係の追及,最適な加熱調理の指標となる香気成分の特定を目的とする.【方法】愛媛県産の養殖マダイフィレを上火式電気魚焼き器で焼成し,その過程をデジタルカメラ,赤外線放射温度計を用いて撮影し,画像解析を行うことでL*a*b*値,表面温度を取得した.表面の焼き色から焼成段階を決定し,ガスクロマトグラフを用いたそれぞれの段階の香気成分の分析,におい嗅ぎ装置を用いた官能評価を行った.【結果】試料表面の焼き色は,焼成初期においてタンパク質変性が起こることでL*値が上昇し,焼成が進むにつれ低下した.褐変が開始するとa*値が上昇し,焼成が進むにつれて横ばいとなり,炭化が進むにつれ,L*値が低下した.香気成分の分析では,褐変段階の試料で最も多くのピークが検出された.焼成過程でにおいを嗅いでみたところ,褐変段階にて香ばしく食欲をそそるにおいを感じ,炭化段階において,焦げ臭く,強いにおいを感じた.このため,褐変段階,炭化段階にてにおい嗅ぎ装置を用いて官能評価を行ったところ,褐変段階では8種類,炭化段階では9種類のにおいを嗅ぎ分けることができた.ピークと一致しないにおいも検出され,これらの成分は嗅覚閾値が低いと考えられた.褐変段階では香ばしいにおいを多く感じ,炭化段階では香ばしいにおいに加え,焙煎したような焦げ臭やロースト香が感じられた.

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