抄録
【目的】エンドウの古代品種として知られる通称ツタンカーメンエンドウは、主に未熟な豆(生豆)を食する実エンドウである。生豆はウスイエンドウなどと同様に緑色を呈するが、加熱して保温することで赤く着色する特徴を有する。さらに、DPPHラジカル消去活性を指標とした抗酸化性を示すが、調理による抗酸化性の変化は知られていない。また、乾燥豆の抗酸化性の情報もない。本研究では、当該エンドウの抗酸化性に及ぼす調理の影響について検討した。
【方法】2016年5月に和歌山県で収穫されたツタンカーメンエンドウ及び対照としてウスイエンドウを莢付きで購入し、莢を除いた生豆を凍結保存した。さらに、同年秋に乾燥豆を入手した。凍結生豆は解凍し、乾燥豆は一晩水に浸漬した後、「煮含め」および「茹で」の2種類の方法で調理した。調理済みの豆を凍結乾燥後に粉砕し、50%エタノール抽出液を調製した。それらの抗酸化性をDPPHラジカル消去活性により評価し、ポリフェノール量をフォーリン・チオカルト法によって定量した。
【結果】ツタンカーメンエンドウの生豆の抗酸化性は、ウスイエンドウの生豆に対して有意に高値を示したが、乾燥によって著しく低下した。DPPHラジカル消去活性とポリフェノール量は高い正の相関を示し、抗酸化物質はポリフェノールであると考えられた。生豆の抗酸化性は、「煮含め」では調理後も維持されたが「茹で」では有意に低下し、茹で汁も抗酸化性を示した。よって、茹で汁へのポリフェノールの流出は抗酸化性の低下をもたらすが、加熱による抗酸化性への影響は小さいことが示された。従って、ツタンカーメンエンドウの抗酸化性に着目した場合、乾燥豆よりも生豆の利用が有効であり、含め煮やスープとして煮汁も利用する料理に適することが明らかになった。