抄録
【目的】八升豆は多収穫であり今後の食料資源としての利用が期待されている。しかし、多量に摂取すると嘔吐や下痢などを引き起こすL-3,4-dihydroxy-phenylalanine(以下、L-DOPA)を多く含有するため、調理による除去が必要である。本研究では八升豆粉末を用いた麺を調製し、重曹を添加した際の影響を検討することとした。
【方法】小麦粉、食塩、水の配合割合は50:2:22.5とし、重曹添加の有無を比較した。八升豆粉末(190℃で20分間焙煎後、粉砕)は小麦粉に対して0~20%置換した。材料を混合して30分間ねかせた後パスタマシーンで4回圧延し、厚さ2㎜×幅3㎜の生麺を調製し3分間茹でた。L-DOPA量、色、pH、水分含量を測定した。
【結果】重曹無添加の麺の色は、八升豆粉の置換率に関わらず、ねかす操作の前後で大きな変化は見られなかった。一方、重曹添加では豆粉置換率20%麺のL*がねかす前の53.4からねかし後の36.9に、a*値は16.4から1.5に、b*値は33.8から12.2に大きく低下し、薄茶色から黒褐色への変化が観察された。L-DOPA量は、重曹無添加の生麺で0.50g/(100g試料)であり、茹で麺で0.26 g/(100g試料)であったのに対し、重曹添加麺では生麺も茹で麺も検出されなかった。重曹添加麺ではアルカリ性で不安定なL-DOPAが重合することで黒褐色に変化し、L-DOPAが検出されなくなったものと考えられる。以上より、L-DOPA量を除去する観点からは八升豆粉末を用いた麺を調製する際には重曹添加が適していることが明らかとなった。