主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】米のタンパク質は,米粒の外層に偏在し,細胞内ではデンプンの周囲を囲むように存在するため,デンプンの吸水,膨潤,糊化の阻害に関与していることが知られている。マイタケは高いプロテアーゼ活性をもつ食品であり,調理過程において畜肉や卵のタンパク質を分解することが報告されている。本研究ではマイタケ抽出液を炊飯に用いて,米のタンパク質の分解および米飯の物性に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】平成29年度茨城県産コシヒカリおよび栃木県産あさひの夢を試料米とした。マイタケ粉末(群馬まいたけセンター)1.0 gにRO水(以下,水と略する)200 mlを加え1時間攪拌後ふるいに通し,水で225gに調整したものをマイタケ抽出液とした。米150 gに水またはマイタケ抽出液225 gを加えて米飯を調製し,テクスチャーアナライザー(英弘精機)を用いて,炊飯後および5℃で14時間保存した飯の物性測定を行った。米3.0 gに水,マイタケ抽出液および各種酵素阻害剤を添加したマイタケ抽出液4.5mLを加えて50℃で1時間浸漬し,浸漬液のタンパク質量の測定(Lowry法),アミノ酸量の測定(L-8800A,日立ハイテクノロジーズ)およびSDS-PAGE分析を行った。
【結果および考察】マイタケ抽出液を用いて炊飯した飯は,無添加に比べて飯粒全体の硬さが低下し,軟化効果は冷蔵後においても持続した。50℃1時間の浸漬により,マイタケ抽出液では米からの溶出タンパク質量が増加し,米タンパク質の分解,遊離アミノ酸量の増加が確認された。これらの変化にはマイタケ由来の金属プロテアーゼに加えて他の酵素の関与も示唆された。