日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-12
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ポスター発表
未利用魚「シイラ」の食文化と活用方法の検討
*渡邊 幾子三木 章江後藤 月江植田 和美
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キーワード: 未利用魚, 喫食率, 官能評価
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抄録

【目的】非食用に回されたり低い価格でしか評価されない「未利用魚・低利用魚」を有効活用しようとする動きが全国各地で広まっている。我々は,徳島県海陽町鞆浦漁業協同組合との共同研究により,大敷網漁で水揚げされる「未利用魚・低利用魚」の有効活用を検討してきた。2018年度は,未利用魚として扱われることが多いシイラに着目して,その食文化や活用方法を検討することを目的とした。

【方法】2018年12月に徳島県海陽町で開催された「とれとれ市」において,魚料理の嗜好調査,摂取頻度,魚種による喫食状況について調査した。魚種は,植田らの報告1)で喫食率の高かった魚5種(サケ・サバ・サンマ・アジ・ブリ)と海陽町で水揚げされる未利用魚6種(シイラ・トビウオ・クロサギ・イスズミ・ニザダイ・ブダイ)とした。さらに,シイラの活用方法を提案するために,西京焼きとハンバーグを試作し官能評価を実施した。

【結果および考察】魚料理の嗜好性では,「好き」が約86%となった。摂取頻度では,「1週間に2〜3回」が約38%と最も多かった。魚種による喫食状況では,シイラは約72%の喫食率を示し,未利用魚6種の中では最も高かった。徳島県海陽町においてはシイラを好んで食べる食文化はみられないが,以前に比べて食べられていることが推察された。官能評価の結果より,西京漬けでは,「やわらかく食べやすかった」,「購入したい」,ハンバーグでは,「ヘルシーだと思う」といった好評なコメントが得られ,有効な活用方法であることが示された。今後も,シイラの調理法を提案し活用方法を広めることで,喫食率増加へつながることが期待できる。

1)植田和美他,日本食生活学会第56回大会,2018

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