主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】コリアンダーは,中国では「香菜(シャンツァイ)」,タイでは「パクチー」と呼ばれ,ヨーロッパから東南アジアの料理には欠かせない香味野菜である。しかし,葉には「カメムシ様の匂い」と言われる独特な香りがあり,嗜好性が大きく分かれる。そこで,本研究では,フォー・生春巻き・トムヤムクンなどの生葉の食べ方を想定し,香気成分の加温による影響について検討することを目的とした。
【方法】試料は葉(フレッシュ, ドライ)および種子(ホール, パウダー)を用い,まず部位による香気成分を検討した。次に,葉(フレッシュ)について食べ方の加温条件として40℃,60℃,80℃を設定し,バイアル瓶(40ml容)に内部物質(ウンデカン)を入れ,ヘッドスペースの香気成分を捕集し,GC/MSおよびGC/O分析を行った。香気成分の捕集はMonolithic Material Sorptive Extrction 法(以下MMSE法)を採用した。
【結果および考察】葉(フレッシュ)の主要香気成分はパクチー様のdecenalであり,種子は甘い香りのlinaloolであり,それぞれ特徴的な香りが認められた。そして,葉(フレッシュ)を加温すると,decenalの含有量が増加し,温度の上昇とともにその匂いが強くなることもわかった。以上のことから,コリアンダーの葉(フレッシュ)は加温し,その温度が高くなるとdecenalの匂いが強調され,嗜好を左右することがわかった。種子には,甘い香りや柑橘系の爽やかな香りが認められ,スパイスとして料理に賦香するために使用されると推察された。