日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-16
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ポスター発表
加熱方法の違いがさつまいもの食物繊維に及ぼす影響(第2報)
*山中 なつみ池田 倫子小川 宣子
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抄録

【目的】蒸し加熱したさつまいもの食物繊維は電子レンジ加熱した場合に比べてレジスタントスターチ(以下RS)含量が高く保水性が低いなど,加熱方法によって食物繊維の量や性状が異なることを明らかにした1)。本研究では,蒸し加熱時間に伴うさつまいものRS含量の変化を調べるとともに,加熱方法の違いが食物繊維の腸内発酵性に及ぼす影響を検討した。

【方法】徳島県産なると金時を輪切り(厚さ2 cm,直径4 cm)にした後,100℃の蒸し器内で2, 4, 6, 8, 12分加熱した。RS含量をAOAC法2002.02により測定し,蒸し加熱時間に伴う変化を調べた。また,生,蒸し加熱(12分),電子レンジ加熱(National NE-S200F,500W,60秒)したさつまいもから,Prosky法に従って総食物繊維(以下TDF)を抽出した。ラット(Wistar, 雄, リタイア)の盲腸内容物から調製した菌体懸濁液にTDFを基質として加え(基質最終濃度10 mg/ml)37℃で培養し,短鎖脂肪酸(酢酸, プロピオン酸, n-酪酸)産生量から腸内発酵性を評価した。

【結果および考察】さつまいものRS含量は蒸し加熱時間が長いほど高くなる傾向がみられ,加熱6分後では1.33%となり,生に比べて有意(p<0.05)に増加した。加熱12分後では1.52%であり,加熱6分から12分においてはRSの有意な増加は認められなかった。さつまいものTDFを18時間培養した後の短鎖脂肪酸産生量は,生,蒸し加熱,電子レンジ加熱の間に有意差は認められず,腸内発酵性は加熱方法の違いによる影響を受けないことが示された。

1) 池田ら:日本調理科学会平成29年度大会研究発表要旨集, p80

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