日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2B-6
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口頭発表
冷凍根菜における凍結速度と品質の関係性
*島田 沙織石田 一晃石田 亘
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抄録

【目的】近年,自然解凍冷凍食品の需要が高まっている。しかし,根菜類は凍結すると解凍時に離水を伴って食感が軟化,スポンジ化し品質が悪くなる。これは凍結により生成した氷結晶が成長し,組織を損傷することが原因だと知られている。我々は,これまでに液体窒素凍結が根菜の離水抑制や自然解凍後の食感の維持に効果があることを報告した。本研究では冷凍根菜の品質向上を目的に,液体窒素凍結より簡便なブライン凍結の有用性について検討した。

【方法】根菜類(ニンジン,ゴボウ,ダイコン,ジャガイモ)を用いて凍結速度による品質の違いを評価した。各食材を一辺30mmの立方体形にし,喫食可能な硬さになるまでボイルした。放冷した食材をエアブラスト凍結(-40℃),ブライン凍結(-10,-20,-30℃)液体窒素凍結(-196℃)し,0〜-10℃に達する時間を測定した。10℃に設定した恒温機でサンプルの解凍を行い,食味,ドリップ量,破断強度を未凍結品と比較した。

【結果および考察】ニンジンの凍結時間は,エアブラスト凍結では17分,ブライン凍結(-30℃)では3分であり,ブライン凍結の方がより凍結速度が速かった。しかし,ドリップ量,破断強度に差はみられなかった。食味においても差はなく,未凍結品と比較して食感の軟化とスポンジ化がみられた。凍結時間が数秒である液体窒素凍結では,食味,ドリップ量,破断強度ともに未凍結品に近い品質が維持された。自然解凍後の根菜類の品質向上のためにはブライン凍結以上の凍結速度が必要であると考えられた。

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