主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】食品の見た目はおいしさの感じ方に及ぼす重要な要因の一つである。中食惣菜は,消費者の健康志向を取り入れた彩り豊かな野菜を含む商品が豊富にラインナップされている。しかし,このような惣菜食品は長時間店頭でディスプレイされることで商品中の緑色野菜の緑が退色し,見た目が著しく損なわれることが問題となっている。本研究では惣菜商品をイメージして緑色野菜の色調を維持する技術の開発を試み,イノシン酸二ナトリウム(IMP)に退色抑制効果を見出した。
【方法】クロロフィルa(Chl a)-10%エタノール溶液にIMPを溶解し,光照射後のChl a残存率を吸光度より算出した。また,同様に調製したIMP添加Chl a水溶液及び,アスコルビン酸ナトリウム(V.C)添加Chl a水溶液にH2O2を添加し,暗所保存後のChl a残存率を算出した。IMPとV.Cの抗酸化能を,DPPHラジカル消去能活性測定及びH-ORAC法で測定した。緑色野菜をIMP配合水溶液でボイル後,光照射下で保存し,色調を目視及びハイパースペクトルカメラ(エバジャパン(株)NH-7)で評価した。
【結果および考察】IMP添加Chl a水溶液の光照射後のChl a残存率は無添加より高かった。また,H2O2を添加した場合のChl a残存率はV.C添加よりIMP添加が高かった。しかし,DPPHラジカル消去能及びH-ORAC法にて測定したIMPの抗酸化能はV.Cと比較して低かったことから,IMPは抗酸化作用とは異なる機構でChl aの退色を抑制していると考えられた。IMP配合水溶液でボイルした緑色野菜類は,目視及びハイパースペクトルカメラにて,光照射後も無添加より緑色を保っていることが確認された。