日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1A-4
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口頭発表
高pHでのコーンスターチの糊化とゲルの特性
*平島 円藤本 はるな高橋 亮磯部 由香西成 勝好
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抄録

【目的】コーンスターチの糊化に及ぼす高pHの影響について,その糊液の特性から検討した結果,pHを12程度まで高くすると,糊化が起こりにくく,糊液の粘度は低下するとわかった。しかし,pHが12を超えると,糊化は起こりやすく,粘度は高くなった。本研究では,ゲルを形成する高濃度のコーンスターチを用いて,高pHでのゲルの特性について検討した。

【方法】澱粉にはコーンスターチ(三和澱粉工業(株))を用い,その濃度は20wt%とした。pHは Sorensen緩衝液で,6.0(コントロール)〜13.1に調整した。糊化と澱粉ゲルの特性はDSC測定と一軸圧縮測定にて検討した。

【結果および考察】澱粉のpHを12.4までのアルカリ性にすると,澱粉ゲルの破断応力と破断歪が低くなり,大変形においてやわらかくもろいゲルを形成するとわかった。これは澱粉の糊化温度が高温側に移行し,糊化が起こりにくくなったことから,粒子内からアミロースとアミロペクチンの溶出量が少なくなったためと考えられる。しかし,初期弾性率の値はpH12付近まではほとんど影響を受けず,微小変形領域ではアルカリ性の影響を受けにくいとわかった。一方,pHが12.4を超える強アルカリ性では,破断応力と初期弾性率は低かったが,破断歪が高く,ゲルはやわらかいがしなやかになるとわかった。それぞれのpHで還元糖量を測定すると,pHが12.4を超える強アルカリ性では還元糖量が急激に増加した。すなわち,強アルカリ性ではアミロース鎖とアミロペクチン鎖が切断され,その長さが短くなるが,量は多くなるとわかった。そのため,強アルカリ性ではアミロースとアミロペクチンの絡まりあいが多く,破断歪が高くなったと考えられる。

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