主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】漬物においては,漬物の組織を破壊し,抽出して成分含量を測定する場合が多く,それらの空間的配置や分布を配慮しない場合が多い。本研究では,成分の濃度分布が十分に明らかにされていない野菜の漬物において,ハイパースペクトルイメージング技術を用い,成分の浸透を可視化することを目的とする。また,官能評価を行うことで,各種成分の浸透とおいしさの関係性を明らかにしていくことを目標とした。
【方法】食塩(NaCl)溶液とL-グルタミン酸ナトリウム(GluNa)溶液を調製し,異なる色素を添加したものに,ダイコン,キュウリ,ハクサイを漬けた。それぞれの時間条件で漬けた試料の中心をカットし,断面をハイパースペクトルカメラで撮影したのち,画像解析を行った。画像解析ソフトを用いて,各成分の浸透率を求めた。また,(1)NaCl→GluNa,(2)GluNa→NaCl,(3)NaCl+GluNaの3つの条件で漬けた試料をサンプルとし,外観,香り,塩味,うま味,食感,総合評価を5段階評価で官能評価を行った。
【結果および考察】NaCl,GluNaの各成分単体の浸透については,どの野菜においても溶液濃度および漬け時間が増すにつれて,浸透が進んでいる傾向がみられた。NaCl,GulNaの二つの成分を交互に漬けたダイコンとハクサイのサンプルでは,解析画像および浸透率の結果から,初めに漬けた成分よりも,後から漬けた成分のほうがより浸透していることが示された。また,官能評価の結果より,方法(1)のNaClで漬けたあとにGluNaで漬けたサンプルは,うま味が強いという結果が得られ,塩分含量も少ないことから減塩化に役立つ漬け方であると考えられる。