主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】口腔内咀嚼嚥下過程のモデル (Hutchings, Lillford, J Texture Stud. 1988) およびテクスチャプロフィールアナリシス (TPA) は簡便なためか頻繁に用いられているが,解釈と使用法と定義において問題が多く,検討が必要である。
【方法】Hutchings-Lillfordモデルは食べ物を口に入れた瞬間から嚥下までの過程について,一般的に成り立つと思われているが,詳細について検討が必要である。また,TPAパラメータの解釈については混乱が生じており,検討が必要である。本研究では,いくつかの事例について検討した。
【結果および考察】 Hutchings-Lillfordモデルは,かなり多くの食品の場合に当てはまることが多く,有用であるが,構造軸,時間軸,潤滑軸に関して曖昧な点が多い。時間軸については一方向にしか進まないはずであるが,構造軸および潤滑軸に関しては,必ずしも一方向に進むとは限らないことについて,実例に即して検討する。
凝集性について,TPAで多用される定義は非論理的であり,粒状・粉状食品に関して使われている定義との相関を検討する必要がある。液体の伸長時の破断長と降伏応力との間に相関関係があると思われ,これらの特性による評価が妥当であると思われるが,今後さらなる検討が必要である。誤嚥の起こりにくい液体は低ずり速度における粘度が高いと考えられたが,凝集性の高いことも重要と考えられる。