日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2D-7
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口頭発表
いも類の異なる調理操作における物理的特性と機能性成分変化
*山本 淳子森山 三千江
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キーワード: いも類, 物性, 真空調理
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抄録

【目的】現代人は食生活が不規則となり,種々のビタミンやミネラル不足が指摘されており,生活習慣病に起因する様々な疾病は若年層でも増加している。本研究では,いも類を試料とし従来の調理法「煮る」操作と新調理法「真空調理法」を行い,調理後の色調,破断応力と機能性成分(ビタミンC : VC)の変化を測定し,調理操作の違いによる物理的特性について追跡するとともに,VC残存率が高い調理操作を明らかにすることを目的とした。

【方法】ジャガイモ,サツマイモ,長芋を試料とした。従来の調理法は,調味液の入った鍋で15分間加熱した。真空調理法は,フィルム袋に試料と調味液(ボウルに入れ混合したもの)大さじ3を入れ,真空包装機にかけた後加熱した。調理直後および,冷蔵3日,5日,7日後の測定を行った。色調は,色差計(日本電色)を用いL,a,b値を測定し,破断応力・テクスチャー測定は,レオメーター(山電)を用いた。VC量は,HPLCポストカラム誘導体法を用いて測定した。

【結果および考察】色調は調理直後ではすべてのイモにおいて,冷蔵後ではジャガイモおよび長芋において真空調理法の方が従来法に比べて明度が高く見た目がきれいであった。破断応力はジャガイモ,長芋の真空調理法の方が従来法に比べて有意に高く,煮崩れしにくいことが分かった。サツマイモの破断応力は両調理法で有意な差はなかったが,真空調理法の方が高い傾向が見られた。VC量は,すべての試料において真空調理法を用いたものが調理直後から冷蔵7日後まで抗酸化活性を持つ還元型VCの残存率が高かったことから,VCの損失の少ない調理品を摂取するには,従来の調理法より真空調理法を用いた方が良いことが示唆された。

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© 2019 日本調理科学会
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