主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】気泡を混合させたジェランガムゲルについて,その物理的特性と嚥下特性の関係について検討を行った。
【方法】ネイティブ型ジェランガムを用いた添加濃度が0.4,0.5,0.6%(w/w)の基本ゲルを調製した。これらの基本ゲルに,エスプーマアドバンスで亜酸化窒素ガスを封入し,気泡混合ゲルを調製した。基本ゲル,気泡混合ゲルの密度,気泡含有率,気泡の分散状態の観察,圧縮測定によるひずみと応力の関係,広がり係数(リング法)の測定を行った。加えて若年者による嚥下筋電位測定を行った。
【結果および考察】気泡混合ゲルは基本ゲルに比べ,密度が有意に小さくなった。基本ゲル,気泡混合ゲルの密度にジェランガム添加濃度の影響は認められなかった。気泡混合ゲルの気泡含有率は,いずれ濃度においても35%程度となり,有意差は認められなかった。ひずみ-応力曲線より,基本ゲルは脆性破断を示し,一方,気泡混合ゲルは明確な破断点が認められなかった。初期弾性率は気泡混合ゲルが基本ゲルに比べ,有意に小さくなった。基本ゲル,気泡混合ゲルともに分散媒のジェランガム濃度が大きくなるに従い,初期弾性率は大きくなった。広がり係数は,いずれのジェランガム濃度においても,気泡混合ゲルが基本ゲルに比べ,有意に小さいものとなった。嚥下時筋電位測定の結果,気泡混合ゲルは基本ゲルに比べ,食塊形成時間が有意に短いことが認められた。以上より,ジェランガムゲルに気泡を分散させることで,口中で食塊形成がしやすくなることが示され,気泡混合ジェランガムゲルの嚥下食へ応用が可能になることが示唆された。