日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1C-1
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口頭発表
真空調理法を利用した酢酸高摂取メニューの開発
*荒木 彩多山 賢二阿部 典子岡本 洋子
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キーワード: 食酢, 酢酸, 真空調理法, 鶏胸肉
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抄録

【目的】我々は酢酸による体脂肪蓄積の抑制効果やメカニズムを動物レベルで明らかにし,酢酸を毎日750〜1500mg 1ヶ月以上摂取することで高血圧者の血圧が低下することを示してきた。その後,脂質異常症や肥満が改善できることも示された。しかし酢酸が主成分の食酢の継続摂取が必須で,飲用酢の活用は費用面で問題が多い。従って安価な調味料としての食酢をうまく使い,簡便だが美味しい料理にすることで,酢酸の摂取量を増やす試みが必要と考えた。今回,安価で主菜としても提供できる鶏胸肉を用い,酸味をマスキングする調味物質を加え,新調理法を用いて検討を行ったので報告する。

【方法】真空調理法を用いた。大手食酢企業が推奨する「鶏のさっぱり煮」のレシピを改良し,食酢へ,グルコース,食塩,グルタミン酸の他,ナリンジンを加えた調味液を作成し,これに鶏胸肉を浸漬して加熱する手法を採用した。調理後,立方体に切断し,物性をクリープメーターで測定した後,調味5成分の含量を測定した。

【結果および考察】(1) コンビスチームモード,蒸気量100%,庫内温度85℃とし,中心温度が75℃に到達してからの加熱時間を変える,(2) 袋詰め量を変える,(3) 浸漬時間を変える,という視点で解析した。まず,鶏胸肉は加熱によって非常に短時間に急速収縮し,軟らかさは期待できないことが確認された。各調味成分は浸透の程度が異なることが示された。条件検討の結果,加熱時間を5分,真空調理専用袋(280×380mmのフィルム)に300gを封入,浸漬期間を2日間(冷蔵)とすることで,調理した鶏胸肉100g当たり,酢酸を1000mg含むことが明らかとなり,肉の購入日を変えた実験で再現性も確認した。

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