日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-58
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ポスター発表
セルロース・グルコマンナン複合ペーストを用いたカレールーの嗜好性の検討
*岩田 恵美子後藤 昌弘吉村 眸畑 欣宏浅見 孝志
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抄録

目的 セルロース・グルコマンナン複合体ペースト(セルロースペースト)の食品への利用の可能性を拡大する検討の一環として,カレーに粘稠性を与える材料である小麦粉ルウをセルロースペーストと置き換えてカレーを調製し,官能検査によりその嗜好性を調査した。

方法 市販カレールウ(H社製)とセルロースペーストルウおよび小麦粉ルウを用いてカレーを調製した。材料の割合と作り方は料理書に記載されている一般的なものを用いた。官能検査は,「総合的にカレーとして好ましいもの」を順位法で評価した。また,調製したカレー間の差を調べるために市販品で調製したカレーを基準試料として評点法を用いて,「香り」「舌触り」「辛さ」「総合評価」を評価した。なお,官能検査は神戸女子大学人間を対象とする研究倫理委員会の承認を得て行った。さらに,3種のルーを用いたカレーの栄養成分量は,日本食品成分表(2020年版8訂)を用いて算出し比較した。

結果・考察 順位法では,市販品が最も好まれたが,セルロースペーストカレーと小麦粉ルウカレーの間には有意差がなかった。評点法では,「総合評価」で3種のカレー間に有意な差はなく,「香り」は小麦粉ルウよりセルロースペースト入りの評価が高かった。セルロースペーストカレーの栄養成分は他の2種と比較すると,エネルギーが少なく,食物繊維は最も多かった。セルロースペーストは食品に有効利用できるだけでなく,官能検査の「総合評価」で市販カレールウや小麦粉ペーストルウとの間に有意な差が無かったことから,エネルギーを抑え,食物繊維の摂取量を増やすことのできる有効な食品素材になると推察された。

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