【目的】酒造好適米(酒米)は、食用米と比較して米粒の中心にデンプンからなる心白(しんぱく)という白色不透明の構造がある。心白は、雑味の原因とされる脂質やタンパク質の含量が少なく、菌が入り込みやすく麹を作りやすいため酒造りに適しているといわれている。山田錦とコシヒカリは同等の良食味性を有するという報告もあるものの、酒米は米飯としては活用されていない。そこで本研究では、兵庫県産酒米「山田錦」の食用としての用途を探ることを目的として実験を行った。
【方法】酒米として2019年産兵庫県産山田錦、食用米として2019年産兵庫県産きぬむすめを用いた。炊飯は、酒米、食用米ともに精白米の1.5倍量の水を加え、家庭用IH炊飯器にて行った。また、炊飯以外の米の加熱加工として、穀類膨化機を使用した米膨化試料も調製した。還元糖はソモギ-ネルソン法、全糖はフェノール-硫酸法にて測定し、アミロース割合の測定はヨウ素呈色法を用いた。テクスチャーはクリープメーター(RE-3305S(株)山電)を使用して測定を行った。
【結果】米飯の炊き増し比は、山田錦2.40倍±0.01、きぬむすめ2.34倍±0.01となった。米飯試料の全糖量、還元糖量は山田錦が有意に多かった。アミロース割合に有意差はなかった。硬さは炊飯直後の山田錦米飯がきぬむすめ米飯よりも有意に硬い結果となったが、付着性、凝集性には差はなかった。米膨化試料は精白米の約10倍の大きさに膨化し、山田錦の全糖量が有意に多かった。これらの結果から酒米と食用米では異なる加工特性があると考えられ、酒米の炊飯や膨化の加熱加工特性を検討しその特性を生かすことにより、適した加工条件を見出すことができると考えられた。