日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-7
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口頭発表
高齢者のパン摂取量増加が期待されるソース付加パンの開発
*高橋 智子大越 ひろ
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抄録

【目的】本研究では多孔質であるために食べにくいとされているパンに、異なる力学的特性を有するソース(液状食品)を付加することが、パンの力学的特性、および食べやすさに与える影響について検討した。

【方法】パンクラムに蒸留水、増粘剤添加溶液、増粘剤添加溶液の容量50%を植物油、乳化剤に置き変えた植物油乳化溶液、および植物油のみを浸漬させたパン試料を調製した。浸漬に用いた溶液の流動特性、浸漬パン試料の吸水率、1回圧縮後の離水率、破断特性、テクスチャー特性、咀嚼・嚥下筋電位測定、および官能評価を行った。

【結果・考察】浸漬溶液の流動特性は蒸留水、植物油はいずれもニュートン流体であった。増粘剤添加溶液、植物油乳化溶液の粘性率は蒸留水、植物油よりも大きく、植物油乳化溶液の流動性指数は増粘剤溶液よりも大きなものとなった。吸水率は蒸留水試料が最も大きく、植物油試料が最も少ない。離水率は蒸留水試料が最も大きく、増粘剤溶液試料、植物油乳化溶液試料は少なかった。圧縮率25%における応力、テクスチャー特性の硬さはいずれも植物油試料が大きく、蒸留水試料は小さいことが示された。増粘剤添加溶液試料の付着性は最も大きいものとなった。筋電位測定の結果、咀嚼回数は蒸留水試料が最も少なかったが、咀嚼筋活動時間、筋活動量は植物油乳化溶液試料が小さいものとなった。咽頭音、嚥下時筋電位測定結果より、蒸留水試料は咀嚼開始直後に分離された蒸留水を嚥下していることがわかった。官能評価の結果、蒸留水試料は口中で浸漬液が分離しやすく、まとまりにくいと評価された。一方、植物油乳化溶液試料はまとまりやすく、飲み込みやすいと評価された。

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