主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】これまでに雑穀粉を使用した天ぷら衣の健康機能性を検討した中で,普通ソバ(ソバ全層粉)は小麦粉に比べ高い抗酸化能を示した。その一方で,衣としての色の嗜好性は低かったため、使用するソバ粉の配合には工夫が必要である。高い抗酸化能を維持しつつ嗜好性を向上させるため,ソバ全層粉を色の白い普通ソバ内層粉(ソバ内層粉)に代替えし,食用ソバの中でも抗酸化成分のルチンを豊富に含む韃靼ソバの配合が有効であると考えた。すでにソバ内層粉に韃靼ソバ粉を配合した天ぷら粉製品(市販粉)が開発されているが,その抗酸化能と嗜好性は明らかでない。本研究では市販粉を含む各種そば粉で調製した揚げ衣の抗酸化能を比較し,ソバ内層粉および韃靼ソバ粉の配合効果を検証した。
【方法】市販粉(㈱日穀製粉),ソバ内層粉,ソバ内層粉,韃靼ソバ粉の4種類の揚げ衣の抗酸化能を比較した。各揚げ衣は凍結乾燥後,70 v/v%エタノール溶液を用いて 37 ℃で 30 分間加熱抽出を行い,その上澄みを測定試料とした。抗酸化能は,SOD様活性およびペルオキシルラジカル捕捉活性から評価した。
【結果・考察】市販粉で調製した揚げ衣の抗酸化能は,SOD様活性で 70.0 U/mL,ペルオキシルラジカル捕捉活性で 5.6 mmol TE/100 gであった。これらの値は韃靼ソバ粉揚げ衣より低かったが,ソバ全層粉揚げ衣(77.3 U/mL,5.9 mmol TE/100 g)と同等な値を示し,ソバ内層粉に韃靼ソバ粉を配合することで、高い抗酸化能を保持した揚げ衣を調製できることが明らかとなった。抗酸化能のみならず,外観もソバ全層粉揚げ衣の灰褐色と比較して,天ぷら衣としての色の嗜好性が期待できる。今後,韃靼ソバ粉の配合効果を嗜好性評価からも検討する予定である。