日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-16
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口頭発表
熟練者および非熟練者調製コンソメスープの化学成分と嗜好性
*冨永 美穂子迫井 千晶山田 研秋元 真一郎来島 壮石川 伸一湯浅 正洋
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抄録

【目的】料理においては常に再現性が求められ,材料・分量および方法を統一し,規定された条件の下,その差異について比較分析し,客観化(数値化)していくことが主流である.しかしながら,細かな実験条件下での差異の知見は実践の現場である料理人の技術の向上や料理の応用展開に役立つ理論の提供に貢献できないと考えられる.そこで,おいしい料理を基点に客観化を検討することとし,熟練者と非熟練者の牛肉ベースのコンソメスープをサンプルに分析評価を試みた.

【方法】調理経験25年以上の料理人2名(熟練者),調理経験3年程度の若手料理人および料理学校学生,各1名(非熟練者)に材料・分量のみを規定し,市販の液体ブイヨンをベースに各調理者に渾身のコンソメスープを調製してもらった.調理中の様子を録画するとともに,最終収量,pH,塩分,Brix,遊離アミノ酸類,核酸類,有機酸類,糖類,脂肪酸類,味覚応答,香気成分などを分析比較した.また,料理学校所属の教職員および学生15名に官能評価を行い,嗜好性を評価した.

【結果】成分分析において,pHおよび脂肪酸類を除き,調理者間にスープの収量および成分含量差が認められ,Brix,遊離アミノ酸総量,有機酸類総量は熟練者の方が多い傾向にあった.特に若手料理人の調理方法に特徴が認められ,最終収量および種々の成分含量に影響している可能性が示唆された.一方,官能評価において,被験者のおいしいスープのイメージはほぼ一致したが,各スープに対する嗜好性の評価は分散し,総合評価に有意差は認められなかった.

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